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ミュージカル「アリージャンス 〜忠誠〜」のあらすじ・ナンバー紹介

ミュージカル「アリージャンス 〜忠誠〜」は2021年に日本で初演されたブロードウェイ・ミュージカルです。
テーマは「第二次世界大戦中に起きた米国日系移民の強制収容」。

ホリプロ公式のキャッチコピーはこんな感じです。

家族、愛する人、星条旗…自分は何に忠誠を誓うのかー

時を越えて繋がる家族の愛

ミュージカル『アリージャンス~忠誠~』 | 【公式】ホリプロステージ|チケット情報・販売・購入・予約 (horipro-stage.jp)

ジョージ・タケイ氏の実話を元にしたお話です。 
シリアスさもありますが、逆境で生きる日系人の強かさや家族愛に焦点が当てられた希望あるミュージカルです。

日本初演の直前、2021年2月にはバイデン米国大統領が日系人の強制収容について「恥ずべき歴史」と声明を出し、時節を得た公演となりました。

日本公演にあたり日本人に違和感のないよう、「日本版の演出」をカンパニーで緻密に打ち合わせられたそうです。

公式のHPはこちら ※2021年公演は終了
ミュージカル『アリージャンス~忠誠~』 | 【公式】ホリプロステージ|チケット情報・販売・購入・予約 (horipro-stage.jp)

「アリージャンス〜忠誠〜」のあらすじを見ていきましょう。

目次

「アリージャンス〜忠誠〜」のあらすじ・ナンバー紹介

Act 1

2001年12月7日。サミー自室。

サミーの記憶の中の人が、亡霊のように表れるがサミーが一喝すると消える。
サミー・キムラは80歳の退役軍人。
毎年の恒例どおり、「昔の仲間」に元気な姿を見せるために自室で軍服を着ている。

遺言執行人を名乗る女性が訪問し、サミーの姉・ケイが亡くなったことを伝える。
ケイが遺したサミー宛の中身が不明の封筒を渡し、葬儀の日時を伝えて帰って行く。

自室に残されたサミーの元に、姉ケイの亡霊が現れて「やり直すチャンスだ」と説く。

1941年夏、カリフォルニア州サリナス。サミー20歳。

サミー・キムラが帰省すると、ちょうど七夕祭りの日だ。
七夕祭りの準備をしていたケイがサミーを迎え入れる。

続いて父・タツオや祖父・カイトが現われるが、タツオはサミーに厳しい様子である。
キムラ家の互いの家族への思いが歌われた後、七夕祭り参加者全員で希望に溢れた想いを歌う。
(♪「星に願いを/Wishes on the Wind」)

七夕祭りの終了後、サミーはロースクールの受験に落ちたとタツオに告げる。
サミーは軍人になりたいと言うが、タツオは聞く耳を持たず、浪人して再受験するよう告げる。

1941年12月〜、キムラ家。太平洋戦争が勃発。日系人は強制収容所へ。

キムラ家は全員でラジオを聴いている。
日本軍の真珠湾攻撃により太平洋戦争が勃発したニュースが流れている。

父・タツオは、日系人への風当たりが強くなるだろうと言う。
サミーは、アメリカへの支持を示すために家の前に星条旗を飾ろうと提案する。

しかし、ケイとタツオはサミーを制止して「嵐とは闘うな」と説く。
(♪「嵐とは闘うな/Do Not Fight the Storm」)

一方、JACL(日系アメリカ人市民同盟)のマイク・マサオカは、ラジオで日系移民に対してアメリカに協力するよう要請する。

作中で唯一、マイク・マサオカは史実の人物です。
JACLのキーパーソンとして日系人の強制収容問題の解決を試みて第442部隊の創設に関わりました。
戦後も日系アメリカ人の地位向上のためにロビイストとして活躍されました。
マイク・マサオカの弟として登場する「ベン・マサオカ」は史実ではマイク・マサオカの兄(フランスで戦死)。

FBIが調査に来るなど不穏な情勢の中、キムラ家は1942年8月に強制退去させられてしまう。

キムラ一家を始めとする日系移民は識別番号を貼られ、カバン一つで強制収容所へと送られた。

1942年8月〜 ハートマウンテン収容所。

サミー達の収容先はハートマウンテン収容所だった。
駅に着くなり、人とは思えない扱いを受ける日系移民。

喉が渇いたという祖父・タツオのためにケイが水を探す。
その様子を見たフランキー・スズキは、自分の水筒の水をケイに分ける。
フランキーは、他の地区から収容所に連行された日系移民だ。

看護師のハナ・キャンベルが現れて、健康診断のために男女ともに裸になるよう指示する。
しかしサミーの抗弁を聞いたハナは、女性は部屋に入るよう指示を変える。

無事に健康診断を終え、日系移民は居住スペースで家族と再会する。
しかし居室は壁の隙間から砂漠の砂が絶えず入り、トイレは共同トイレで個室ごとの壁がない。

サミーは憤慨して文句を言おうとするが、祖父・カイトは我慢するよう説く。
我慢とは「前に進むために耐えること」である。
(♪「我慢/GAMAN (Endure with Dignity」)

引き続き、ハートマウンテン収容所。日系人の強かな生活。

祖父・カイトが居室に風鈴を飾っていると、見回りの米兵に見咎められてしまう。
居合わせたサミーが取り繕い事なきを得るが、米兵に言い返すサミーをタツオが咎める。

家族を守りたい一心での行動だったのに、怒られたサミーは独り、心情を吐露する。
(♪「男は/What Makes a Man」)

またある時、咳が止まらない祖父のためサミーは救護室に薬をもらいに行った。
しかし、看護師のハナは日系人に薬は与えられないと告げる。

サミーは納得せず、どうにか薬をもらおうとハナを言いくるめる。
意外な態度に驚いたハナは、とうとう薬を渡してしまう。
(♪「行かなきゃ/I Oughta Go」)

収容所の劣悪な環境は改善されず、私生活の制限も多い。
そんな中、サミーは陳情書を提出しようと、皆に意見を聞いて回っていた。

全員で楽しめるゲームをしたいという意見が出る。
何をするか議論が盛り上がる中、サミーが野球を提案して満場一致で野球に決まった。
(♪「団結しよう/Get in the Game」)

その様子を苦々しい様子で見つめる父・タツオ。
サミーはタツオにも意見を求めるが、タツオは答えずにフランキーを呼び、同世代の男性陣と食堂へ行ってしまう。

ある日、ケイは祖父・カイトのために薬をもらうため、カイトと救護室に来ていた。
傍らでハナを手伝っているサミーだが、それを見咎めた米兵に殴られてしまう。

居合わせたケイはサミーを叱責し、ハナに「関わるな」と告げてカイトと共に居室へ戻った。
納得したハナは、キムラ家の安全のためサミーを救護室から追い出す。

ハナが救護室に一人残り、芽生えつつある恋心と葛藤を歌い上げる。
(♪「これでいいの?/Should I?」)

一方、独身男性寮にいるフランキーは、サミーがいない間にケイを訪ねて親交を深めていく。
フランキーの両親は日本語学校を経営していたが真珠湾攻撃の直後に投獄されてしまい、フランキーは独り身なのだった。

ワシントンD.C. マイク・マサオカの交渉。

JACLのマイク・マサオカは、日系移民収容所の環境改善を州知事に訴えるが一向に聞き入れられない。
日系移民の社会的地位の向上のために、日系移民のみで構成した部隊の創設をマイクは提案する。
その部隊が活躍すれば、日系移民のアメリカへの忠誠を示せるからだ。

合わせて、適正な入隊者を選別するためにアンケートで適性を問うことを提案する。

1943年初頭、ハートマウンテン収容所。忠誠登録票が配布される

マイク・マサオカの提案を受け入れたアメリカ政府は、強制収容所の日系人に忠誠登録票を配布する。
しかし、マイクの想定以上に厳しい内容で、日本人の尊厳を踏みにじるようなものであった。

収容所の日系人は、その内容に動揺する。忠誠登録票で問題になったのは、

  • 27問(米軍への従軍意志を問う)
  • 28問(アメリカに忠誠を誓い、天皇への忠誠を拒否する)

の2問だった。

この2問を「No」と回答すれば、ツールレイク強制労働収容所へ移送され、今以上に過酷な生活となる。

多くの日系人が回答に悩む中、サミーを始めとする一部の若い男性陣はアンケートを歓迎する。
この2問に「Yes」と答えれば、かねてから希望していた米軍への入隊が叶うからだ。

一方、父・タツオは断固として2問に「No」と答えようとする。
政府に協力し、渡米して築き上げた財産を全て差し出した上で、さらに侮辱を受けることに怒りを滲ませる。 
(♪「アリージャンス〜忠誠/Allegiance」)

喜んで「Yes」と答えようとするサミー、やむを得ず「Yes」と答えるケイ、断固として「No」と答えるタツオ。 
キムラ家に亀裂が走る中、タツオは怒って部屋を出る。 
ダンスパーティーを予定していたサミーはケイの制止を聞かず食堂へと向かう。 

姉・ケイと祖父・カイトは2人で居室に残される。

カイトはダンスパーティーへ行くようケイを促す。 
亡き母に代わり家族に尽くしてきたケイだが、ケイも自分のために物事を決めて良いのだとカイトは優しく説く。 
(♪「小さな石で/ISHI KARA ISHI (Stone by Stone)」)

同日、救護室。サミーがハナに想いを告げる

救護室では、ラジオから甘いラブソングが流れている。 
看護師ハナはうっとりとラジオに耳を傾け、点滴台を相手に社交ダンスを始める。

後ろからそっと入室するサミー。 
ダンスパーティーに行く前に救護室に立ち寄ったのだ。

最初こそサミーはハナをからかうが、そのうちに歌に乗せて互いに想いを告げる。 
(♪「きみと/With You」)

想いを確かめ合った2人はキスを交わし、サミーは食堂へ向かう。

同日、食堂。ダンスパーティーが盛り上がる

食堂のダンスパーティーは大盛況だ。ケイが遅れて参加する。 
ダンスパーティーに参加していたフランキーはケイを見つけ、アンケート用紙でできた髪飾りを褒める。 

主催者であるサミーは、最後の1曲をバンドに頼もうとするがフランキーがそこに割って入り、余興を披露する。 
(♪「パラダイス/Paradise」)

サミーはもともとフランキーが苦手だが、フランキーが徴兵に反抗的なので一層気に食わない。 
余興を続けるフランキーを止めたサミーだが、勢いづいて互いに掴みかかる。

見かねたケイは消灯時間を告げ、パーティーをお開きとする。 
居室への帰り際、フランキーはケイに家庭に収まるのはもったいないと説く。

フランキーが去り、独り通路に残ったケイは、今までの人生を振り返りながら自分を変えようと心情を歌い上げる。 
(♪「もっと高く/Higher」)

後日、ハートマウンテン収容所。キムラ家はバラバラになる

回答書を提出する日。 
父・タツオは忠誠登録の2問に「No」と回答し、ツールレイク強制労働収容所へ移送された。

「Yes」と答えて米軍に入隊したサミーは、恋人のハナに家族を託す。 
姉・ケイと祖父・カイトは「Yes」と回答し、ハートマウンテン収容所に残ることとなった。 
不安なケイに寄り添うフランキー。

今こそ、各々が自分の思いを行動に移す時だ。 
(♪「今こそ/Our Time Now」)

一幕終わり。

Act 2

徴兵忌避運動により家族の分断が深まる

日系移民のみで構成された442部隊に入隊したサミーは、大きな戦果を挙げた。 
共に入隊したJACLのマイク・マサオカがサミーの功績を記事にし、米国でも大きく取り上げられた。

マイクの勧めで、サミーは記者会見を開き米国への忠誠を示すことにする。 
記者会見の質問で、ハートマウンテン収容所の日系人の徴兵忌避運動を知る。

入隊を志願しない日系移民の男性にも徴兵の令状が届いたが、フランキーが先導して抵抗運動を行っているのだ。 
(♪「抵抗/Resist」)

徴兵を忌避する者など臆病者だとサミーは糾弾する。 
サミーは、フランキーとケイが恋人とはつゆにも思っていないのだ。

ハートマウンテン収容所では、サミーの恋人となったハナが祖父・カイトにサミーの活躍を知らせる。 
ケイの元にはサミーから手紙が届き、元気そうな様子にケイは安堵する。

ツールレイク強制労働収容所では、父・タツオが解放されて家族のいるハートマウンテン収容所に戻ることになった。 
サミーの活躍による恩赦だ。門番が手渡したLIFE誌の表紙には、ヒーローとしてサミーの顔写真が掲載されていた。

成長したサミーの姿を喜んだタツオは、門番に頼んで記念にLIFE誌をもらう。

ハートマウンテン収容所。フランキーの逮捕とハナの死

ハートマウンテン収容所では日系移民が徴兵忌避運動を続けていたが、とうとう逮捕される。 
(♪「アリージャンス〜忠誠〜(リプリーズ)/Allegiance (Reprise)」)

追い詰められたフランキーは死を覚悟するが、別れを嫌がるケイにまた会えると約束する。 
(♪「最後じゃない/This is Not Over」)

しかし、運動を率いていたフランキーは、収容所内で米兵から苛烈なリンチを受けてしまう。 
恋人を逮捕されたケイは奮い立ち、徴兵忌避者への不当な扱いについて告発しようとする。 
(♪「もっと高く(リプリーズ)/Higher (Reprise)」

日系移民女性の協力を得て無事に告発文を作り終えたが、ケイは体調が優れない。 
(♪「抵抗/我慢(リプリーズ)/Kei Takes Charge」)

救護室でハナの診察を受けたケイは、フランキーの子どもを妊娠していると告白する。 
全てを抱え込もうとするケイに、ハナが力になりたいと申し出る。 
最初は拒否するケイだったが、恋人のために行動しようとするハナに共感して理解しあう。 
(♪「強くなったわ/Stronger than Before」)

そこに、瀕死のけがを負ったフランキーが運び込まれる。 
暴力を止めるようハナが米兵に言うが、米兵は聞き入れない。

フランキーに駆け寄るケイを乱暴に引き剥がした米兵は、銃で脅す。 
引き下がらないケイともみ合う内に銃が暴発し、ハナが撃たれてしまう。

ヨーロッパ戦の最前線。激しい戦闘に巻き込まれたサミーが倒れる

場面は変わり、ヨーロッパの山中。 
サミーが所属する第442部隊は、ドイツ軍に包囲された米軍を救出する作戦につく。

難易度が高い作戦で弱音を吐く者もいるが、サミーは鼓舞する。 
決死の作戦前夜、サミーは短い休憩の中でハナを夢に見る。 
(♪「きみと(リプリーズ)/With You(Reprise)」)

真っ暗闇の中、作戦が決行された。ドイツ軍の反撃により次々と日系人が倒れていく。 
悲惨な状況の中で仲間の救出を試みるサミーだが、銃弾に倒れる。

ハートマウンテン収容所。日系人は平穏に収容所生活に耐えている

ハートマウンテン収容所では、収容所生活が始まり3年が経とうとしていた。

祖父・カイトは、ハートマウンテンの固い土を耕して庭に花を咲かせた。 
妊娠中のハナは、便りが途絶えたサミーの身を案じている。

そこに、投獄されているフランキーから手紙が届く。 
治療が功を奏し、フランキーは無事に回復したのだ。

手紙には、ケイの告発運動のが功を奏して収容所に戻れそうなことと、プロポーズが書かれていた。 
祖父・カイトや周りの女性はケイを祝福する。 
居室への戻り際にカイトは胸を押さえ、庭の側で亡くなる。

戦況は米軍優位で、1945年8月6日には広島に原子爆弾が投下される。 
ラジオは終戦への期待を告げるが、甚大な被害を受けた故郷に日系移民は心が凍りつく思いだ。 
(♪「凍てついた/ITETSUITA(We are Frozen)」)

やがて終戦し、米国は勝利に湧く。サミーの所属する第442部隊は、功績を称賛される。 
(♪「442 ヴィクトリー・スウィング/442 Victory Swing)

収容所の日系人は、バスのチケットと若干の金銭を支給されて解放される。

ワシントンD.C. サミーがマイク・マサオカにJCLAへ勧誘される

足に重傷を負ったサミーだったが、米国へ生還する。 
ワシントンD.C.で、JCLAのマイク・マサオカと会う。

ワシントンD.C.で共に日系移民のための政治活動をしようとマイクは誘う。 
しかし、サミーは家族のいるロサンゼルスへと向かう。

ロサンゼルス。家族との再会と別れ

ロサンゼルスで、サミーとの再会を楽しみにするケイは、ベビーカーに乗った子どもをあやしている。 
(♪「カリフォルニアに戻って/Back in California」)

父・タツオに子どもを預けたところに、サミーが帰ってくる。

再会のハグを交わし、ケイが何かを言おうとするがタイミングを逸してしまう。 
タツオもサミーとの再会を喜ぶ。

喜びも束の間、ケイの結婚相手がフランキーだと知ったサミーは事実を受け入れられない。 
追い討ちをかけるように、タツオがハナの死を告げる。

フランキーのせいでハナが死んだと思ったサミーは、フランキーに殴りかかる。 
サミーは家に入ることなく、マイク・マサオカのいるワシントンD.C.へ戻ることにする。

ケイはサミーの後を追うが、フランキーを受け入れられないサミーと口論になる。 
(♪「行くのね?/How Can You Go?」)

口論は激しさを増し、ケイは勢いでパープルハート勲章を投げ捨ててしまう。 
軍人の誇りである勲章を投げ捨てられたサミーは、ケイに背を向けてワシントンD.C.へ旅立つ。

2001年12月。サミー自室。家族の本当の想いに気づく

ケイの遺言執行人が帰った後、80歳のサミーはまた思い出に苛まれていた。 
遺言執行人が置いていった封筒を開けると、サミーが表紙に載ったLIFE誌が入っていた。 
裏表紙には、父の字で「My Hero」と書かれている。

父の愛情に気づいたサミーは、家族から目を背けてきた自分を悔いる。 
せめてもの思いで、ケイの葬儀に参列する。

葬儀で再開した遺言執行人はサミーを歓迎し、「母からの預かり物」をサミーに渡す。 
ロサンゼルスで赤ん坊だったケイの娘、ハナコが遺言執行人を名乗っていたのだ。

包みの中身は、ケイと口論した時に落ちたパープルハート勲章だった。 
ケイの愛情を理解したサミーは、家族としてハナコとハグするのだった。

終幕。

「アリージャンス〜忠誠〜」のナンバー

童謡のような歌からラップまで、音楽の幅が広い本作です。 
ユーチューブにホリプロ公式がアップロードしている曲の内容紹介をします。

男は/What Makes A Man

1幕中盤、ハートマウンテン収容所でサミーが歌うソロナンバーです。 
風鈴をつけたいと言った祖父を庇おうとしたところ、父に却って怒られてモヤる場面です。

歌の内容は、祖国に忠誠を誓い米軍に入って功績を上げてこそ家族を守れるというサミーの思い。 
サミーの勇敢さに加えて、家族を守りたいという純粋な思いを覗かせる名曲です。

サミーは日系2世で、見た目が日本人でも心はアメリカ人なので、「祖国」はアメリカを指します。 
一方、日系1世である父にとっての祖国は日本。その辺りの違いが後々、家族の分断につながっていきます。

これでいいの?/Should I?

1幕中盤、ハートマウンテン収容所の看護師ハナのソロナンバーです。 
サミーへの恋心が芽生えつつあるハナですが、ハナと関わることで却ってサミーを危険な目に合わせかねないと自覚する場面。

当時、異人種間結婚は法律上認められていませんでした。)

しかし、規則を愛より優先させるのが良いのか自問自答する1曲です。

出だしの複雑なメロディーや、最後の中途半端な音にハナの迷いが表現されているように思います。

きみと/With You

1幕後半、忠誠登録票が配られた日のダンスパーティーの前、救護室を立ち寄ったサミーとハナのデュエットナンバーです。

メロディーはラジオで放送されるラブソングという設定です。 
規則を超えた恋の先に希望を見る、本作随一のラブソングだと思います。 

YouTubeではサミーとハナのお二人だけで歌われていますが、舞台ではラジオの歌と一体化してサミー、ハナ、ラジオの三者が代わる代わる「きみに」を連呼します。

逆説的ですが、2人だけの世界で反響しているかのようで引き込まれます。

ラジオ音声役の方が舞台後ろで生歌を披露されます。

もっと高く/Higher

1幕終盤、忠誠登録票が配られた日のダンスパーティーの後、フランキーと別れた後に歌うケイのソロナンバーです。 
亡き母に代わり家族に尽くしてきたケイが、一歩前進する覚悟を決める歌です。

迷いつつも、広い世界に飛び出そうとするケイの歌声が高らかに響きます。

個人的には、後半「飛ぶわーー」で1度終わるかと思いきや半音上がってサビを繰り返すところが圧巻。

強くなったわ/Stronger Than Before

2幕序盤、救護室で歌うケイとハナのデュエットナンバーです。

徴兵忌避運動で逮捕されたフランキーを救うために外部への告発を試みるケイですが、妊娠中で体調不良になり救護室に向かいます。 
恋人サミーに家族を託されたハナは、ケイに協力を申し出ます。

最初はハナを拒否するケイですが、愛のために行動する者同士だと気づき互いを認め合う1曲です。

基礎データ

スタッフ

脚本:マーク・アサイト、ジェイ・クオ、ロレンゾ・シオン
作詞・作曲:ジェイ・クオ
演出:スタフォード・アリマ(2012年 サンディエゴ、2015年 ブロードウェイ、2021年 日本)

日系アメリカ人2世で俳優のジョージ・タケイ氏の実話に着想を得ています。

キャスト(2021年日本初演)

キャスト登場人物サミーとの関係
濱田めぐみ ケイ・キムラ
海宝直人 サム・キムラ (1940年代)本人(過去)
中河内雅貴 フランキー・スズキ 収容所仲間のちに義兄
上條恒彦 サム・キムラ(現代)/おじいさん(1940年代 )本人(現代)/祖父(過去)
小南満佑子 ハナ・キャンベル 収容所看護師のちに恋人
今井朋彦 マイク正岡JACLのスポークスマンのちに戦友
渡辺 徹 タツオ・キムラ
2021年日本初演の主なキャスト

※名古屋公演、大阪公演では、渡辺徹さんの病気休演により松原剛志さんがタツオ・キムラ役で出演。

サンディエゴの初演とオリジナル・ブロードウェイ上演では、 ジョージ・タケイ氏がサム・キムラ(現代)/おじいさん(1940年代 ) 役を務められました。

公演日程(終了・2021年)

東京2021年3月12日(金)~28日(日)東京国際フォーラム ホールC
名古屋2021年4月17日(土)~18日(日)愛知県芸術劇場大ホール
大阪2021年4月23日(金)~25日(日)梅田芸術劇場メインホール

上演時間

2時間40分程度 ※休憩20分込み

「アリージャンス~忠誠~」を見たい・聞きたい

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「アリージャンス~忠誠~」 の紹介は以上です。明日も良い歌みれますように!

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